年金繰下げとは、65歳の受給を66歳以降に受給時期をずらすことです。
2022年4月より75歳まで時給時期をずらすことができるようになりました。
(2022年4月1日時点で70歳になる人)
01_0401kurisage.pdf (nenkin.go.jp)
繰下げをすれば、受給額が増額します。
逆に、早く受給しようとすると(繰上げ支給)減額されるしくみになっています。
いざ、年金受給となった場合に繰下げ支給した方が良いのかが悩みどころです。
それでは繰下げ支給しようか?迷った場合、損益分岐点は何年なのでしょうか?
繰下げ受給の損益分岐点は?
11.9年が損益分岐点となります。
65歳から受給した場合の受給総額に繰下げ受給開始から11.9年で追いつくことになります。
(例)70歳まで繰下げた場合・・70歳+11.9歳=82歳
82歳より長生きすれば、繰下げした方が得という計算になるのです。
もし、寿命が短ければ、先に受給しておいた方がよかったということになります。
寿命が長く、受給されなくてもその期間に金銭的余裕があるのであれば、少しでも遅らせて受給を延ばした方が得になるということです。
でも一概に寿命だけでは単純に計算できません。理論上、分岐点が11.9年となります。
さて、どれだけ繰下げ支給をしてもらう額が違ってくるのでしょうか?
1ケ月遅らせるだけで0.7%も増額されます。
金利と考えればとてもいい利率ですよね。
1ヶ月で0.7%なので1年では8.4%です。
0.7% × 12 ケ月 = 8.4%
銀行に預けていても8.4%にはならないですよね。
これを65歳から70歳までの5年間延ばした場合は、
8.4% × 5年間 = 42%
ということは、
単純に年金受給額が200万円だった場合
65歳からの年金受給額 200万円が一生の受給額
70歳からの年金受給額
200万円 × 1.42 = 284万円が一生の受給額
これは、結構違ってきます。
でも、寿命なんて分からないのでどうするかは難しい問題ではあります。
平均余命からの繰下げの損得勘定は
11.9年が損益分岐点!
損益分岐点の計算方法は?
65歳から受給した場合の受給総額に繰下げ受給開始から何故11.9年で追いつくのか?
例をとって計算してみます。
67歳から受給
繰下げしないと2年かける100%=200
67歳から増減は16.8%=116%
200÷16=11.9
67歳から11.9年たてば受給総額は65歳受給開始を上回る
70歳から受給
繰下げしないと5年かける100%=500
70歳から増減は42%=142%
500÷42=11.9
70歳から11.9年たてば受給総額は65歳受給開始を上回る
受給年齢を変えても同じように11.9となります。
繰下げした場合11.9≒12年以上受給できるかどうかが、考える1つのポイントになりますね。
もし最大の繰下げ年齢75歳で12年の損益分岐点は、87歳なので女性で考えれば平均余命というところなのですが、
よほど長生きする自信がある方か・・・
よほどの老後の資金的余裕がある方か・・・
年金は保険であって貯蓄ではないとの考えをお持ちで年金自体貰わなくてもいいという意思のある方か・・・くらいではないでしょうか。
ちなみに繰下げは、基礎年金だけ、厚生年金だけと選択することも可能です。
しかし12年の損益分岐点だけの単純計算!いや、実際には一筋縄にはいかないのです。
11.9年の損益分岐点だけではない!
そもそも、年金受給額から税金などを差し引かれるので手取り額で考えると損益分岐点の年齢が異なってくることにも注意が必要です。これは年金による一定率、税金や社会保険が差し引かれるなら計算できますが、税金は累進課税や扶養、社会保険は市によっても税率なども違うので個々の計算となります。
また基礎年金、厚生年金のみの受給であればこの計算をもとに検討してみればいいのですが、加給年金、振替加算、遺族年金があるなら検討する必要があります。
①65歳の時点で働いていれば受給を引き延ばした方がいいか?(在職老齢厚生年金)
年金以外に収入がある場合は年金額が減額される可能性があるからです。
総報酬月額相当額(給料)と基本月額(年金)が、月47万円以上の収入がある人は、年金が減額されます。
→もし、繰下げをしてもその減額された年金額からの計算となります。
繰下げすると受給されないが、満額から繰下げ率を計算するという訳ではないのです!!
②加給年金、振替加算(生計を維持している場合にもらえる年金)
→繰下げの対象にならないため、繰下げ期間は全くもらえないことからマイナス要因となります。
老齢基礎年金のみ、老齢厚生年金のみ繰り下げるという方法もありますので加給年金がない年金の方だけ繰下げ受給するという方法もあります。(保険の加入期間が20年以上である夫が、20年未満である妻より年下である場合はそもそも加給年金が付きません。)
③遺族年金(夫が繰下げしていて夫が死亡した場合)
繰下げしても遺族厚生年金が繰下げ受給分に増額されることはありません。
65歳時点を元に計算されます。
増額した年金は反映されないのです。
→遺族年金は扶養しているものがいない場合は、老齢基礎年金部分は夫の分をもらうことがないので老齢基礎年金のみを繰り下げることを考えられますが、どうなるのか分からないことなので、慎重に考える必要があります。
遺族年金(妻が繰下げしていて夫が死亡した場合)
妻の繰下げはどうなるのか?
死亡した時点で、遺族年金を受給する場合は。繰下げはできなくなります。
その方法として2通りあります。
1.65歳に遡って自分の年金を一括で請求する。
2.夫が死亡した時点で繰下げ請求をする。
選択できるようになります。どちらが得になるのか計算する必要があります。
ケースバイケースですが、①の方が得になるケースが多いと思います。
④税金、社会保険の負担増
→繰下げ支給によって増額することにより扶養から外れる可能性があります。
そもそも年金受給額は手取りで計算すると、損益分岐点は11.9年にならないことにも注意が必要です。
⑤医療保険、介護保険の自己負担
→増額することで自己負担割合が増える可能性があります。
まとめ
人それぞれですが、健康であり、老後の手持ちの資金と勘案してから余剰である場合なら5年程度、繰下げ受給した方がいいと個人的には考えます。
人生100年時代を考えれば、1年でも繰下げした方が得策です。70歳まで働けれるなら働いた方が健康のためにも、お金のためにもいいと思います。会社に拘らず、事業を始めたりとスキルを活かして世の中に貢献できる状態にしておくことがベストですね!!
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