2024年新NISA制度の変更点とは?個人投資家のメリットを解説

金 融

2024年1月から始まる新NISA制度は、さまざまなチャンスをもたらします。特に、長期間にわたる資産形成と税制上の利点を組み合わせることで、安定した将来を築くことが期待されます。

新NISA制度の主な変更点は、非課税枠、非課税期間、非課税保有限度額、投資枠の4点です。これらの変更を理解し、効果的に活用することで、より良い資産形成を行うことができます。

新しく実施される制度が、これまでの制度と比べてどう変わったのかを詳しくお伝えします。

制度が恒久化される

これまでのNISA制度では「利用期間」が一定の範囲で定められており、一般NISAについては2023年まで、つみたてNISAは2042年までと決められていました。そのため、投資を始めるにあたって、期間に制限があること考えながら、投資計画を立てる必要があったのです。

新しいNISA制度の導入により、利用可能期間に上限がなくなりました。この結果、18歳以上のすべての人は、期間の制約を気にすることなく、いつでもNISA口座を開設することが可能となりました。これから投資をはじめたい人にとって、より柔軟に開始できるメリットをもたらすと考えられます。

さて、投資を行うときに気にすることはもちろんリターンですが、お金を引き落とす際に発生する「課税枠」も大切なポイントです。

非課税枠が無期限になる

「非課税枠」とは、文字通り税金がかからない限度枠のことです。以前のNISA制度では、税を取られない期間は一般NISAで5年、つみたてNISAでは20年という形で定められていました。このデメリットとして、非課税期間が終わった後、投資商品の価値が下がっていた場合、税金の負担が増えてしまう可能性が問題点となっていました。

しかしながら、新NISA制度が取り入れられることで、この問題は解決されます。新しい制度では、つみたて投資枠(つみたてNISAと同じ)と成長投資枠(一般NISAと同じ)の両方で、非課税期間が無制限に延長されます。

たとえば、以前の制度で一般NISAの非課税期間は5年しかなく、この短期間内に投資商品をロールオーバー(再投資)するかどうかの判断が求められていました。しかし、新しい制度では非課税期間が無制限になったため、投資商品の価値が上がるまで保持し、その後売却することが可能になります。

これにより、投資した側は、より長期的な視点で資産を運用することができるようになり、投資戦略を柔軟に作ることができるのです。さて、期間が無期限になったことは喜ばしいことですが、果たして非課税枠の限度額はどのように変更されるのでしょうか。

非課税保有限度額が新しく設けられる

ここまで制度の恒久化と非課税枠の無期限化についてお伝えしてきました。3つ目に解説するのが、新たに設定される生涯非課税限度額の「1,800万円」という上限金額です。

以前の制度では、このような限度額の考えは存在しなかったものの、ルールとして上限がかかるケースが見受けられました。

具体的には、

・一般NISAにおいては600万円(年間120万円×5年)

・つみたてNISAにおいては800万円(年間40万円×20年)

という内容でした。

新制度の導入に伴い、これらの上限額が大きく増加し、投資可能な範囲が拡大するだけでなく、非課税保有限度額の再利用も許可されるようになりました。

以前の制度では、非課税投資枠を一度利用すると、その後の商品売却に際しても非課税保有限度額の再利用は認められていませんでした。他方、新しい制度の下で、この限度額の再利用が可能となり、投資者は非課税保有限度額内で資産の売買を行い、資産運用のオプションをさらに拡大することができるようになります。

これらの変更により、投資側はより柔軟な戦略を立て、資産を長期的に増やすことが可能になります。では、以前の投資枠だった「つみたてNISA」「一般NISA」は、どのような枠組みになったのでしょうか。

新たな2つの投資枠が設けられる

お伝えした通り、新しいNISA制度では、つみたてNISAと一般NISAのような2つの異なる投資枠が設けられ、それぞれ「成長投資枠」および「つみたて投資枠」と名付けられています。これらの投資枠は併せて用いることができ、それぞれに非課税投資の限度額が設定されています。

これまでの制度における年間非課税投資枠は、つみたてNISAで40万円、一般NISAでは120万円という金額でした。他方、新制度の導入により限度額が拡大され、つみたて投資枠が120万円(前の3倍)、成長投資枠が240万円(前の2倍)に増加し、2つを合算すると360万円まで増額されます。

注意点として、既存のNISAから新しいNISAへのロールオーバーはできないという点があります。ロールオーバーとは、非課税期間が終わる時に、保有している金融商品を次年度の非課税枠に移し、非課税の状態で運用を続けることを指します。これは、新旧の制度間で非課税投資枠を移動させることができないという制限を意味しており、投資側はこの点を理解し、計画を立てる必要があります。

まとめ

今回は、2024年新NISA制度の変更点を、従来の制度と比べてお伝えしました。

あらためて、以下に表としてまとめます。

項目  旧NISA制度   新NISA制度
利用可能期間一般NISA: 2023年まで
つみたてNISA: 2042年まで
    恒久化 (無期限)
非課税期間一般NISA: 5年
つみたてNISA: 20年
     無期限
非課税保有限度額     なし生涯非課税限度額: 1,800万円
投資枠一般NISA:   年間120万円
つみたてNISA: 年間40万円
成長投資枠:   年間240万円
つみたて投資枠: 年間120万円
非課税枠の再利用     不可      可
ロールオーバー     可旧NISAから新NISAへのロールオーバーは不可
  

既存のNISAから新NISAへのロールオーバーはできない点に注意が必要なものの、より良い資産形成を行うためにも、活用したい制度だといえます。

NISAを始めてない方は、まずは2023年年内に既存のNISAを活用し、2024年に新NISAを新たに活用することも可能です。非課税枠を最大限に活用することができます。少しずつからでも長期間投資することがとても大切です。思い立ったらはじめてみてはいかがでしょうか

また新制度に変わることをきっかけに、現在NISAを活用されている方も、新たに追加投資、もしくは現NISAの売却も視野にいれながら、新NISAを試してみてはいかがでしょうか?

良い資産づくりに役立つツールだと考えます。

  • X

コメント